病気になってもいっぱい遊びたい

私達は、病院で子どもと遊ぶボランティアです。退院してからも出会いの場を大切にしています。

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子どもの臨床セミナー第2回

2009年11月28日(土)午後18:00~21:00

子どもの臨床セミナーはボランティアのスキルアップのために開いている学習会です。30人のボランティアおよび関係者が集まりました。

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ヘレンダグラスハウスはイギリス初の子どもホスピスで、慈善団体が運営しています。病院の中ではなく地域の中にあることが特徴です。

子どもががんになって、その命に限りがあるとわかったとき、イギリスでは子どもの遊びや生活の質が重視され、そこに治療もあるという感じ。運営には500人のボランティアたちがかかわり大勢の市民や企業が子どもたちを支えていました。それに対して日本の現状は…。

このセミナーには遊びのボランティアが出会った3人の小児がんの親ごさんがご参加くださいました。親ごさんの声は切実です。

母親Aさんは小児がんと盲目、二重の十字架を背負って闘った8歳の娘さんの人生を語られました。いかにがんという病気が医療スタッフや家族だけでは背負いきれない重さかが伝わってきました。

母親さんBさんは脳腫瘍で2年生の息子さんを亡くされました。お医者さんから「治療ができないから残りの時間は家で過ごすように」と言われ、半年の在宅生活を送りました。マンションはバリアフリー対応でなく、車椅子生活になった息子を抱え、「私たちは夜中もぐっすり眠ることはなかったです」と24時間の在宅介護の日々を語っておられます。

父親Cさんは当時幼稚園児だった白血病の息子さんの付き添いを1年半経験なさいました。ひとり親で、仕事もしながら。退院しても地域の学校にいけず、自宅での日々がどのようなものかを語られました。

この他3人のお母さんは「会場に行かれないので」と手紙を書いて送ってくださいました。

5歳と3歳、二人の子を持つDさんは病院を退院して1年たちますがまだ、治療が継続しているので幼稚園に行けない現実を訴えておられます。

Eさんは「息子は退院してから自由な時間がたくさんあるが、有意義に時間を使えないもどかしさを感じている」と言い、日中一人でいる息子さんを案じながら仕事に出かけています。息子さんは今19歳ですが、16歳から2年半の闘病を経てやっと退院された身。まだ歩行には杖が必要で、体力は十分回復してはいません。しかしEさんも仕事を辞めるわけにはいきません。

Fさんは重度障害の息子さんを21年育てておられた経験をおもちです。障害者は通所施設があって親も子も仲間の存在に助けられた。病気の子どもがにも安心して仲間と出会える場が必要だと集える場のある必要を体験談を交えて書いてくださいました。

6人の親ごさんのうち5人は小児がんの親ごさん。そしてこの中にはたとえ子どもががんのような重い病気になってもひとり親で家計を支えなければならず、日中付き添えず、仕事の後に病院にかけつける休まる暇もない親ごさんもいらっしゃいます。

イギリスでは病気の親子を支える施設が全国41カ所あり、日本の人口と比較するなら日本には80は必要ではないでしょうか。今の国の制度は医療費はかかりませんが、病気は一過性とみられ、障害児のように十分な手当ても通所施設もありません。過酷な治療を終えて家に帰ってきた子どもたちの現実も寒々としています。

しかし私たちは希望を捨ててはいません。イギリスではたった一人の2歳のこども、ヘレンちゃんを助けようと一人のシスターが動き出して41カ所に広がりました。会場に集った30人は今日、これを聞いて「自分たちの出来ることからやっていこう」という声が出ました。 (坂上)報告書が欲しい方は事務局へ)

以下何人かの感想の抜粋です。

①こんなになんでもある裕福な日本にホスピスがひとつもなくて、イギリスには41もある。設立者ドミニカさんのような思いをもっている人、実行する場、機会があまりにもない。DVDをみてイギリスをうらやましく思った。(VOL)

②人間の英知と善意が結集した様子をDVDで拝見した。(VOL)

③報告された患者家族の声に心を動かされた。退院後、感染にかかりやすいので出かける場所がなく、家にこもっている白血病などの子どもの支援の必要性を強く思った。(VOL)

ホスピスというと「死に行く人が安らかに過ごす場所」だと思っていたが、イメージが変わった。「限られた命を最大限に豊かに、自分らしく過ごすことを助ける場所」と。(VOL)

⑤がんは再発のリスクもあって爆弾を抱えながら生活している。そういう病気なのに、日本にはひとつもこどものため具体的に手を差し伸べる施設がないなんて。

⑥息子を脳腫瘍で亡くした私たち夫婦にとって子供の面倒は親が看るもの。社会の支援など望むべくもなく、闘病生活を過ごしました。今日は私の経験を社会に訴えていく一歩に参加できて、嬉しく思いました。(患者家族)

⑦ヘレンダグラスハウスのDVDを初めて見た。こんな場所があるなんて思わなかった。このハウスは、介護に疲れきっている重病の子供の母親に休息を提供する事から始まり、ボランティアが関わり、運営を助け、患者家族を応援している場である。病気の子が、治療しながら、家族と安心して過ごせるホテルのようだった。通常、病院に入院すると治療中心の生活になるのが当たり前で、それは当事者にしかわからない大変さ、辛さがある。ウチは子供が3才ぐらいの時から父子家庭で、6才の時に白血病になり、闘病生活が始まった。両親が近くにいるので、入院中の昼間は両親に付き添ってもらい、夕方から夜には交代で自分が泊まり込む。母親がいない分、夜は自分がいないと寂しがる。次の日の午前中に、また両親と交代してもらい、仕事へ行く。病院には風呂は無く、シャワーなど浴びられない。洗面所で頭を洗い、タオルで体を拭くぐらい。食事はコンビニの弁当や外食ばかりで飽きがくる。仕事の後に時間がある時は、一度家に戻り、シャワーを浴び、着替えて、着替えを持ち、仕事の準備をして病院へ戻る。病室では、子供が寝てから仕事の残り分の電話をしたり、パソコンで書類を作ったり。普通のサラリーマンだったら今の生活が成り立ってないだろう・・・。

とにかく毎日が病院と仕事の往復でゆっくり休める暇がない。病室にいても、先生や看護師が頻繁に来るから、慣れるまで気が抜けないし、気疲れする。ヘレン&ダグラスハウスでは、個々の生活が中心となった治療を行い、子供にとっては、学校のようであり、家のようであり、病院でもあり、児童館のようである。家族にとっては、旅行先のホテルのようであり、病気の子も命の短い子も、みんなでどれだけ楽しく過ごせるか?という事に重点を置いている。イギリスには、こんな場所が41カ所もあり、ほとんどが寄付で運営されている。日本には、こんな場所はない。入院中は同じ病気の子と院内で仲良く遊んでいるが、外泊した時には、外で安心して遊べる場所や食事制限中でも外食できる場所がない。外泊中に同じ病気の子達と遊ぼうとしても家が離れていたり、インフルエンザや感染症に注意するため、各家庭の事情等で会う事はできない。せめて東京都に1つぐらい、病気の子が安心して遊べて、食事もできる児童館的な場所が出来ないだろうか。 (患者家族)