病気になってもいっぱい遊びたい

私達は、病院で子どもと遊ぶボランティアです。退院してからも出会いの場を大切にしています。

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面会ボランティア

{%サクラ(チカチカ)hdeco%}4月

私は今、デザイン学科に通っている大学3年生です。私にとって初めてのボランティアは、どんな事をしたらよいのか分かりませんでした。とにかくどんなボランティアがあるのかを調べたところ、この遊びのボランティアを知りました。子どもが大好きなのでこのボランティアをしてみようと思いました。

活動を始めて1年がたって、桜が咲くこの春、私にとって、とても大切な出会いがありました。

ある土曜日、その日、私が一緒に遊んだのは、1歳半の小さな女の子。初めは、人見知りをしないか、泣いてしまわないか、とても不安でした。ですが、女の子は可愛らしい笑顔を私に見せてくれました。一緒におもちゃで遊んだり、抱っこをしたりする中で、お母さんになると、こんな気持ちになるのかな、と思いました。

活動の後コーディネーターの坂上さんから、その子が児童相談所から来ており、治療が終わったら乳児院に行くということ、普段面会に誰も来ないので面会ボランティアを募集しているという話しを聞きました。そこで私は手をあげて面会ボランティアを月曜と水曜に行くことになりました。 

平日の面会時間に病室に一人で入るのは初めてでした。3時の病棟はほかの子の面会に家族が来ていたりしていましたが、その女の子には誰もいません。私が会いに行くと看護師さんたちが「楽しそうでいいねぇ!」とか「ボランティアさんが来てくれるから嬉しいね!」と女の子に声をかけてくれました。

同室のお母さん方も「いつも笑顔ですね」とか「人見知りしませんね」と私に声をかけてくれたりします。そういうことも嬉しかったです。

ある時、熱が出て痙攣を起こしたことがありました。痙攣を起こすと、すっかり形相が変わり、目を見開いて動けなくなって、はじめて「この子は病気だったんだ」と思いだしました。苦しい時、当たり前のようにこんな小さな、女の子の傍にいてくれるはずの家族がいない事に、私は胸が痛く、苦しくなりました。

この子だけでない。私が知らなかっただけで、世の中には同じような境遇の子どもが病院にいるのだと言う事も改めて考えさせられました。

私にとってこの面会ボランティアはとても大切で忘れられない思い出になりました。私に抱きついてくれた時の体温、優しく小さな命…。私が力になりたかったはずが、女の子から大きな力を沢山もらいました。きっとこの子はすぐに私を忘れてしまうでしょう。でも私は女の子の事を忘れません。

小さな子どもが今日もどこかで、一生懸命に頑張っている。私もその子どもたちに負けないように頑張っていこうと思いました。女の子との面会の帰り道、私はいつも綺麗な桜を目にしていました。いつの間にか桜は散ってしまい、そして女の子は乳児院に行きましたが、桜を見る度に女の子の事を思い出します。 いつみ 大学3年