病気になってもいっぱい遊びたい

私達は、病院で子どもと遊ぶボランティアです。退院してからも出会いの場を大切にしています。

過去のブログはこちら

一人のボランティアと3人の子ども

2010年11月20日(土曜)   (burogu106話)

土曜日、いつも15,6人いるボランティアが風邪や試験などで半分しかいません。8人のボランティアを個室につけると、子どもが激しく泣いている部屋がありました。ここにもボランティアをつけたいと思いながら、でも人がいません。そこには3つのベッドがコの字に並び、1歳女子、7歳女子、はたちの男子。泣いていたのは7歳子ちゃん。知的な遅れがあり、お話ができません。訴えるように首を振りながら大きな声で泣いて声が廊下まで聞こえていました。私が「今日はボランティアがいなくて、遊んであげられないの、ごめんね」と言いながら、「大きな栗の樹の下で」を歌ってあげると、お歌がとても好きみたいで座ったままリズムをとっていました。向かいにいる赤ちゃんはやっとお座りが出来るようになったばかりの年齢。歌が始まると緊張のお顔がゆるみました。「えらいね、ママがいなくても頑張っているね」と声をかけました。もう一人は20歳の男子ですが肢体不自由のため養護学校に通っていて移動はストレッチャー。はたちくんは小学生のときから入院退院を繰り返し、これまでに何度も遊んでいます。

この3人の子どもの目が一斉に私に注目し、(誰もしゃべらないのに)「遊んでえ」と訴えてくるのです。こまったな~。コーディネーターは担当をもたず、病棟全体を見なければなりません。

「ちょっとだけね、絵本一つだけね」と言って“腹ぺコ青虫”の絵本を持って来てよみました。

「これでおしまい!」絵本をあたまの上にのせ、お辞儀。すると絵本が頭から落ちてそれを「おっとっと」と手で受け止めると大爆笑。1歳子ちゃんがお腹をかかえ、7歳子ちゃんがヒッヒッヒ~、はたち君は呼吸器をつけているので声は出ませんが、(*^_^*)を真っ赤にして見ています。はたちくんが「もう一回やって、もっとやって~」と目で言うので、「これで、ほんとに、おしまい!おっとっと」というとまたまた大爆笑。

するとそこに看護師さん登場!!

「はたちくん、清拭しま~す。あらっ、楽しそうねえ、遊んでもらっているならカーテン半分だけ開けてやるわね」、といって顔から下だけカーテンを引いて、遊べるようにしてくれました。(あら、こまっちゃった。帰れなくなっちゃった)と私。廊下にちょっと隠れて「ばあ」といいながら顔を出すと、またまた大喜び。つまりこの3人は何をしても喜んでくれたのです。はたちくんとは長年の付き合いだけど、こんなに笑ってくれたのは初めてみました。はたちくん清拭をしてもらいながら、着替えのときに脚や背中、腕がときどき見えました。身長は小学生程度。足は私の腕より細く筋肉がありません。呼吸も自分の意思では出来ません。寝返りも出来ません。とても二十歳にみえません。7歳子ちゃんもよく見ると片手は包帯でぐるぐるに巻かれ、もう片方の手は人さし指だけ、4本の指が欠損していました。わずか1歳でどんなにママにいて欲しいだろうかというちっちゃな赤ちゃん、こんな3人の子どもたちが、お腹をかかえて笑ってでくれたこの時間。遊びのボランティアってなんて素敵な活動なんだろうとあらためて思いました。コーディネーター坂上和子