病気になってもいっぱい遊びたい

私達は、病院で子どもと遊ぶボランティアです。退院してからも出会いの場を大切にしています。

過去のブログはこちら

やってもらう側からやる側に (母親)

2010年5月1日 

私は初めて「ガラガラドン」で、貴重な体験をさせていただきました。ボランティアをやってもらう側からやる側へ・・・息子との1年2ヶ月に及ぶ入院生活から感じたこと、「ガラガラドン」でやってみようと思うに至るまでを綴ってみたいと思います。

5年前の秋、当時小学校2年生だった息子は、近所の総合病院で「脳腫瘍」と診断され、そのまま都内の大学病院へと送られました。緊急手術の為の各検査が次々に行われ、手術、放射線治療、化学療法と間髪を入れず治療が行われ、目の前で

起こることに気持ちをついていかせるので精一杯でした。そんな時、主治医の先生からプレールームを案内していただき、毎週土曜日には遊びのボラさんも来て下さることを知りました。「病院の中で遊べるんだ。」と思うのと同時に、辛い毎日から一筋の光が射したように、気持ちが日常へと戻り、ほっとしたのを覚えています。そして、日常生活を送ることは、自分にも出来ることが見つかったような気がしました。

 

それからは、朝は太陽が上がればカーテンを大きく開けて明るい光を入れることや、

まだ、手術してまもなく身体が全く動かせない時には、1日3回ご飯の時間として、重湯を作って唇に浸してあげたり、好きだった絵本の読み聞かせをしました。身体が起こせるようになってからは、食事時は私が後ろに支えに入り、口に少しだけ食べられるものを入れてあげました。子どもが自分で座れるようになってからは、ベッドからプレールームに移動し、一緒に遊んだり、時には勉強をしたりもしました。体調が良い時はなるべく部屋から出ること、それは、小さな刺激でも夜の良い睡眠に繋がっていくことでもありました。病院にいても出来るだけ日常的に近い日々を過ごすということの大切さを実感致しました。

 

化学療法が始まると個室になり、無菌ベッドから出られなくなります。副作用によって身体がだるい時には、ほとんど寝ていましたのである意味私自身は、気持ちの上では辛い部分もありましたが、寝ていてくれることが楽だと感じることもありました。無菌ベッド内で、あまり副作用が出ず過ごす時には、トランプを1枚1枚消毒したり、ゲーム機だったり、DVDであったり、お昼寝という言葉がない小学生にとって、1日はこんなにも時間ってあったんだと思うくらい、どのように1日を過ごそうか・・・そればかりを考えていました。

 治療も長期になってくると息子と毎日24時間一緒の生活は、自分自身の疲れも溜まってきます。

そんな時、私にとっても、息子にとっても、「遊びのボラさん」は救いでした。土曜日は変化のある時間。いつも首を長くして待っていました。無菌ベッドで行き詰まってしまった時には、主治医の先生にお願いして、ボラさんに入ってもらう日もあったくらいです。ボラさんが遊んで下さると、息子の笑顔が戻ってきました。私自身も本当に息抜きとして、「自分の時間」を過ごすことが出来ました。

 そんな息子も退院後4年が経ち、現在は障がいは残りましたが、元気に過ごしています。

入院中、主治医から紹介された本、「病院で子どもが輝いた日」、その著者である坂上和子さんは「遊びのボラさん」立ち上げにご尽力をいただいた方でした。

坂上さんの所で是非今度は「やってもらう側からやる側」を体験し、入院中のご家族へ恩返しする気持ちで「ガラガラドン」の扉を叩いたのでした。 M