病気になってもいっぱい遊びたい

私達は、病院で子どもと遊ぶボランティアです。退院してからも出会いの場を大切にしています。

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患者だった子どもがボランティア

3月27日(火曜) 午後6時半~8時  訪問VOL3人  K君、りさちゃん、坂上

今日はいつもと違ったメンバー登場。K君、21歳。元患者でこの小児病棟に3年前、3年ほど入院していました。

「こんばんは~ボランティアで~す」いつものようにナースセンターに顔を出して手を洗っていると、離れた席からお医者さんが目を点にして「ひょっとしてK君?。えっ!!今日は何?ボランティアで来てくれたの?」、看護師さんも「わあ、K君、今日はボランティア?すご~い」と歓声。今日のK君は花粉予防のマスクとメガネをかけているので最初は気がつかなかったみたい。照れながらA君のボランティア初体験スタート。

お医者さんが「今日はA子ちゃん、調子わるくて機嫌悪いんですよ。ボランティアさんだったらいいかもしれない」とおっしゃいました。

個室に入って「やあ、こんばんは、A子ちゃん、げんき?」

「ひま…」

「何して遊びたい?今日はスピードとトランプ持ってきたけど、A子ちゃんのスピード、すごく強いの、誰も勝ったことないのよ、若いK君、相手してやって」

「おれ、入院中は将棋だったから、スピード弱いんだよ」

「だったら鍛えてもらったら」

そんな会話から始まって物言うひまなくA子ちゃん圧勝。けれどもK君もだんだん繰り返すうちに手の動きが速くなりました。その後、じじ抜きをしたり、ウノをしたり…

「K君は前入院していたとき、A子ちゃんの側にいたんだよ」と坂上が言うと、

A子ちゃんは「今、何も食べられないの。味もしないし」するとK君は「僕もそうだったよ。退院してもまだ味しなかったし」「いまも?」「今は普通になったけど、1年くらいかかったかなあ、今はなんでも美味しいよ」A子ちゃんには点滴台2本から管が6本くらいついて、厳しい治療が行われていることが伺えます。

今、この部屋にいる4人は全員が夏休みに伊豆高原ホテルに一泊旅行に出かけているメンバーでした。伊豆高原で一緒に遊んだ思い出に花が咲き笑い声高らか。

あれれ?たしかお医者さんが「調子わるくて機嫌が悪い」っていってたっけどなあ?

20年も遊びのボランティアをやっているといろんなことがありましたが、2012年3月27日火曜は一番忘れられない出来事だと思います。患者だった子どもがボランティアになって患者を励ましに来てくれた。かつてのK君は食べたり、飲んだり、しゃべったりが出来ず、ベッドから起き上がることも困難な日々がありました。そういう日々を私たちは見てきただけに、今日のK君の存在はどんなに力強く感じたことか。A子ちゃんを励まし、希望を持たせてくれていたように思いました。医療の進歩はありがたく何よりK君を元気にしてくださったお医者さんや看護師さんに感謝です。そして3月とはいえ、寒い中、アルバイトの合間を縫ってきてくださったK君、ありがとうございました。

A子ちゃんを囲んでトランプゲームをするボランティア 右奥K君 手前りさちゃん

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