病気になってもいっぱい遊びたい

私達は、病院で子どもと遊ぶボランティアです。退院してからも出会いの場を大切にしています。

過去のブログはこちら

映画「子どもが教えてくれたこと」をみて2

ガラガラドン イクコ

このドキュメンタリーは今までみたこともない難病と向きあう子どもたちの日常を紹介してくれた映画でした。想像以上に難しい病と闘っていました。私は小児病棟で造形遊びのボランティアを10年ほどやっています。いろいろな子どもたちと遊んできました。
この映画では5人の子どもが登場しますがその内の1人の坊やと同じ病気の5歳の男の子と遊んだことがあります。その子どもは入院して、しばらくは誰とも口をきかなくなり、プレイルームにも行かず、ベッドにこもってしまったとお母様がおっしゃいました。少し入院に慣れてきたころ、私は男の子のところに遊びに行きました。お母様以外とは口を利かないと聞いていましたので、うまく遊べるか心配しましたが、「ねえ、これでピタゴラスイッチ作らない?」木片や木のビーズなどを見せると、顔の表情がぱっと明るくなり、「やる」といったので、ベッドの上を汚さないように新聞紙を敷いて小さな座卓でしたが、絵の具やボンドも並べて木箱の迷路作りをはじめました。

遊び始めるとお母様はご用でお出かけされましたが、戻ってこれたときは、すばらしい作品と男の子の自慢気な笑顔がありました。

二度目の訪問のときは、病室の前でピョンピョンはねながら私を待っていてくれました。おしゃべりも前よりたくさん聞かれました。「僕ね~最初、首のここに差した針を手に変えたの、前より、楽になったんだ」、「僕ね、腕に差した針をお腹に変えたの、痛かったけど、でも、お家に帰れるんだよ~」と、報告してくれました。5歳でもお医者さんの説明を自分なりに納得して受けた気持ちが強く感じられました。細い腕に針を何度も差したり、お腹に管を通すなど大変な思いをしていながらも、子どもは現実を受け入れ今を真剣に生きていて映画の坊やと重なりました。

病気の小さな子どもにカメラを回すことはなかなか難しいことと思いますが、そのメッセージは私たち遊びのボランティアが出会う子どもたちと重なるものがたくさんあります。この映画を作って下さり、ありがとうございました。