病気になってもいっぱい遊びたい

私達は、病院で子どもと遊ぶボランティアです。退院してからも出会いの場を大切にしています。

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日本臨床医療福祉学会発表

f:id:asovo:20180916000527j:image日本臨床医療福祉学会発表内容。2018.09.07

テーマ:高度医療の病院に入院する子どもに付き添う家族のための「お母さん食堂」の取り組み
【はじめに】高度医療の小児病棟には遠方からも難病の子どもが治療を受けにくる。子どもに食事は出るが、付き添う家族には無い。そうした親たちへNPOが病院と家族と連携をとりながら療養環境の改善を考える。
【目的】付き添いの家族が安価で栄養のバランスのとれた食事をすることにより疲労を回復し、ストレスを軽減し、心身の健康増進を目的とする
【方法】
実施時期:2018年1月から毎週1回
実施場所:NPOの事務所

料金:100〜200円
方法:申し込時にアンケートを実施、途中でヒアリングも行った。アンケート項目は入院日、自宅の最寄り駅、子どもの病名、年齢、きょうだいの有無(年齢と人数)、付き添いの時間、交替の有無、食事の方法を記述してもらった。
【結果】2月から4月までの3か月を抽出した。その結果10名の申し込みがあった。3か月間で食堂をあけたのは25日、延べ63人が利用した。月平均でいえば8回、延べ21名が利用した。このうち、食堂に来たのは延べ8人で55人は弁当配達を望んだ。ボランティアは注文数によって1人から5人が調理配達にあたった。
付き添いは全員母親で24時間付き添っていた。そのうち、週末付き添いを交替してくれる人がいたのは5名であった。1週間のうち、付き添いに食事を誰からも運んでもらえない人は6人いた。日々の食事は院内の売店、近くのスーパーかコンビニで食品を購入していた。住居は病院のある新宿区民人は1人もおらず、東京都内は6人、神奈川埼玉千葉などの他県からは4人いた。きょうだいがいたのは7家族だった。子どもの年齢は18歳が1名。小学生2名、小学生以下が7名で、全体の4割は1歳児だった。病名は脳腫瘍が5割、そのほか心臓病や腎臓病等である。入院期間は半年以上が4人いてそのうち二人は1年以上だった。
【考察】 
「お母さん食堂」は食堂を利用する者と配達を望む者、二つに分かれた。食堂の利用者の声としては「しゃべりができてストレスが軽減できた」「友達が出来た」「病院以外の人と話が出来るのが嬉しい」「子どもの前で食べられないのでここがあってよかった」。そのほか、全体として「栄養がある」「旬の食材が嬉しい」「安価が嬉しい」「食欲が出た」「子どもの病状が悪くなって食べ物を受付ないとき、私用に流動食を作って運んでもらったことに感激した」「遠くの親戚より近くの他人」などとあり、食事の支援に対する緊急性から食堂の回数を途中から増やした。また病院には湯を沸かす程度の簡単な調理は出来る環境ではあるが、電子レンジは1台で待つことが多いので、あきらめてカロリーメイトを食べている、大部屋なので匂いのするものは食べられない、食事に興味はもてない、という親もいた。
【結論】病気のこどもに付き添う家族に対して、「お母さん食堂」はストレスを軽減し、心身の健康の増進となった。
【まとめ】高度医療の病院で付き添いに食事を通して支援する活動はこれまでになかった新しい取り組みである。この活動は寄付と助成金を頼っているが、近所のボランティアで料理好きな主婦でも支えやすくコストはさほどかからない。台所を備える場所があれば、どこでも可能と考える。宿泊施設などがある子ども病院でもこうした取り組みの広がりを期待している。

✳️報告後の感想
食堂が病院から徒歩2.3分のところにあるのに、ここまで食べに来れない親のゆとりのなさ。10人中4人が半年以上もおり、さらにこの中で一年以上が2人もいたことに深刻さを感じた。病気の重さ、こどもから離れられず、かと言って近所に知り合いもおらず、孤独な付き添いが孤軍奮闘していることが調査から伺えた。この活動を始める前は病院の近くにスーパーもあり、適当に食べているのだと思っていたが、長くなる親への付き添いへの支援の重要性を痛感。